レモンドロップス。
「お願い・・・?」
急に自分の周りがシンとなったような気がした。
「陽斗のこと、よろしくお願いしますっ」
突然そう言うと、いずみちゃんはテーブルにつきそうなくらい深々と頭を下げた。
「ちょ、ちょっと、いずみちゃんっ」
焦ってあたしがいずみちゃんの肩をなでると、
「陽斗ってクールで軽やかで、鳥みたいに自由に見えるけど、ほんとは人一倍弱いの」
そう必死な目でいずみちゃんは言った。
「あたしは陽斗を支えられない、今は支えてあげられないから、お願い。彩香だけが陽斗を守ってあげてほしいの」
陽斗。
確かに陽斗はいつでも爽やかで、自由で、鳥のようにスイスイとあたしの前を飛んでいるように見える。
いつもそんな陽斗に助けられてるあたしには、人一倍弱いなんて思えなかったけど。
「・・・うん、約束する。あたし、陽斗を守るよ」
いずみちゃんはやっと安心したようにニッコリした。
「よかった~。暑い中きた甲斐があったよ!」
恋、と呼ぶことも許されない気持ちを捨てようとしているいずみちゃんと交わした約束。
いずみちゃんのためにも、陽斗を大事にしたい、そう思った気持ちは本当。
でも、そのときの約束の重さをあたしはまだわかっていなかった。