レモンドロップス。

「陽斗、大ケガだけど助かったよ。今は眠ってる」

「うん、裕から聞いた。ほんとに良かったよ…」

いずみちゃんは、その大きな瞳をうるませている。


「裕からメールもらって夢中で飛び出してきたけど、どうしても病院の中に入る勇気がなくて。でもひと目でもいいから陽斗の顔見たくて、帰ることもできない…」


あたしは思わずいずみちゃんを抱きしめていた。


「いずみちゃん、陽斗の顔見てきなよ。陽斗も絶対喜ぶよ。いずみちゃんは何も悪いことしてないんだから…。」


いずみちゃんは、確かに陽斗のお父さんが不倫してできた子供だけど。

でもいずみちゃんが悪いことをしたわけじゃない。

なのにずっと、その事実を十字架のように背負っていることが見ていられないくらい痛々しかった。


「うん…」

いずみちゃんはあたしの腕の中で、その冷たい体を震わせた。

「でも、こうして彩香と話して、ちょっと気持ちが楽になった」

そっと体を離すと、そう言ってちょっと微笑んだ。


「とりあえず、ここは寒いから中に入って待っていればいいよ。」

あたしもほっとしてそう言うと、いずみちゃんはゆっくり首を振り、

「もうすぐパパも来ると思うから、それまでここで待ってるよ」


その言葉にドキリとした。

「陽斗のお父さんが…?」



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