レモンドロップス。

「いつから来てたの?」

「…1時間前くらいかな、裕からメールもらって」


月明かりに照らされて、いずみちゃんの髪の毛がつやつや光っている。

ただでさえ色白のその顔は、いっそう青白く見えた。


「そんなに前から…?どうして病院の中にいなかったの?」

いずみちゃんは着ているパーカーの袖をぎゅっと寒そうにかき合せると、

「…だって陽斗の家族に会うことになっちゃったら気まずいし」


あたしはその言葉にハッとした。

いずみちゃんは、陽斗の異母兄弟だ。

陽斗はいずみちゃんと普通に接しているけど、陽斗のおばあさんたちはどうだろう…。

そんなこと、考えもしなかった。


あたしの考えを察したように、いずみちゃんは

「あたし、陽斗のおばあさんや親戚と顔を合わせたことないの。きっとまだ、ママやあたしのこと、許してくれてないと思うから」


陽斗のおばあさんの顔がふいに浮かんだ。

あんなに優しい笑顔をあたしに見せてくれたのに、そんなことってあるのかな…。


陽斗を思う気持ちはどちらも変わらないはずなのに、過去の傷は、その気持を分かち合うことも許してくれないのかな…。


だとしたら、こんなに悲しいことはない。



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