レモンドロップス。

あたしの表情を見て、健にぃはあたしが言いたいことを何となく察したみたいだった。

「歩きながら話そう。」

そう言うと職員室に向かって歩き始める。

「戸田の家庭の事情、知ってるのか。」

早足の健にぃを一生懸命追いかけながら、

「大体は。陽斗から直接聞きました。だから、お父さんとその、陽斗のおばあさんがあって話したのか、気になって・・・」

健にぃはちょっと口元を緩めると、

「そんなことまで考えてたのか。お二人とも、ただ戸田のことを心配して、無事を喜んでた。心配するようなことは何もないよ。」

「それから、良かったですけど・・・。」


寒い中、陽斗の家族に気を使ってずっと外で立っていたいずみちゃんを思い出すと、何か揉め事があったのか、やっぱり気になってしまう。

でもやっぱり、考えすぎだったのかな。

血のつながりや過去の出来事が、人の心にどんな感情をもたらすのか、あたしには想像するのが難しすぎる。


健にぃは職員室に入る直前にふと立ち止まった。

「お父さんも、事故の直前に戸田と会ったことで、あいつを動揺させたんじゃないかと気にされていたよ。宮崎は、とにかく戸田がちゃんと学校に戻れるように支えてやってくれ。」

「え、陽斗がお父さんと?」


キーンコーンカーン

あたしの言葉をさえぎるように予鈴が鳴った。

健にぃは、

「ほれ、教室に戻れ戻れ~」

ポンとあたしの肩を叩くとあっさり職員室に消えた。



陽斗は事故の前、やっぱりお墓でお父さんと会ったんだ。

あれほど嫌っていたお父さんと・・・。

その時何があったんだろう?


答えのない疑問が、あたしの頭の中をぐるぐると回っていた。


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