レモンドロップス。
「陽斗、これは?」
あたしの声に、ようやく陽斗は窓から目を離してあたしの方に向き直った。
「ん、何が?」
「ほら、これって・・・」
半分眠っていたような、とろりとした目をした陽斗にテーブルの上の物を指差した。
「ああ、これかあ」
陽斗が摘み上げたのは、小さなお手玉だった。
一目で手作りと分かる、色とりどりの端切れでできたお手玉が二つ、テーブルにポツンと置かれていた。
「昨日ばあちゃんが持ってきたんだよ。リハビリにいいかもしれないって」
陽斗はそう言うと、ポンとお手玉をテーブルに落とした。
「俺の左腕はまだ無理だって言ってるのにさ」
「リハビリやってるの?」
あたしは陽斗の包帯で巻かれた左腕に目をやった。
ギブスは外れているけれど、その傷は深い包帯の中だ。
「まあ、一応ね」
関心がなさそうに、陽斗はまた窓の外に視線をそらした。
「一応って・・・、早いうちからリハビリ頑張った方が、直りが早いらしいよ。陽斗は若いんだし今から」
「絶対治るか、そんなの分かんないでしょ」
あたしのいい加減で頼りないアドバイスを、陽斗は断ち切るように言った。
「絶対治らない、なら言えるかもしれないけどね」