レモンドロップス。
「思い出を手放すのは、もっと後になってから決めてもいいんじゃないか?もったいないよ」
「もったいない・・・ですか」
思いがけない言葉に戸惑った。
「思い出は、お前の体と直接結びついているものだと思うんだ。無理やり切り離すと体に毒だよ」
「今、切り離すともっとしんどいことになるってことですか?」
「今は痛くてもとにかくじっとして、思い出が自然と体から離れていくのを待つのも手だぞ」
ゆったりとあたしを見上げる健にぃは、何だかまるで・・・
「すごく先生っぽく見える」
「なんだそりゃ!今更かよ」
大げさにのけぞった健にぃに思わず吹き出す。
「とにかく、どんな思い出もお前の一部なんだから簡単に手放したりするなよな」
「・・・はい」
いつか消えるんだろうか。
今のこの気持ちは。
それは嬉しいこと?悲しいこと?
あたしにはその答えがまだ出ない。
「あんまり、力になれなくてごめんな」
「・・・そんなことないです」
笑って言ったあたしの言葉、強がりだってことはやっぱりバレバレだろう。
黙ってうなずく健にぃの笑顔は、夕日の中で妙に輝いて見えた。