レモンドロップス。


『戸田陽斗様

 久しぶり、体調はどうですか?

 この前は突然電話してしまって悪かった。

 この手紙も出そうかずいぶん迷ったけれど、どうしても戸田に伝えたいことがあって書きました。 

 
 電話をかけたとき、最後に戸田は言ってたよな、「もう疲れました」って。

 あれはこたえた。

 俺は人一倍無神経だから、戸田の苦しみの1000分の1も理解できてなかったと思う。  

 戸田は人一倍、重たいものを背負ってきたんだからなおさらだ。

 たぶん、今も一人で戦ってるんだろうな。


 でも気づいてるか?

 戦っているのは戸田だけじゃない。 

 今でもお前と一緒に戦ってるやつがいるんだ。

 自分の中の不安や恐れと戦いながら、信じることをあきらめないやつのことだよ。

 先が見えない中でも、そいつは今でも戸田のことを信じてる。

 きっとお前よりもお前のことを信じてる。

 誰のことを言ってるのか、戸田ならたぶん分かるよな。


 戸田の苦しみは戸田にしか分からないことだ。

 本当に誰かと分かち合うことなんて無理なのかもしれない。

 でも、少なくとも戸田にはそばに立って、一緒に戦おうとしているやつはいるんだ。

 そいつはお前の本当の力を知ってる。

 お前の持っている輝きを知っている。

 
 俺も戸田にお願いしたいことがあるんだ。

 自分に絶望しないでほしい。

 自分の力を信じてほしい。 

 もう今の自分には何も残ってないと思ってるかもしれないけど、そんなことは絶対ない。


 
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