レモンドロップス。
「あたしね、心理カウンセラーになりたいと思ってて、今は心理学が勉強できる大学を目指してるの」
「心理カウンセラー?」
陽斗は驚いたように目をパチパチさせた。
「進路についてずっと考えてた。本当に自分がやりたいことって何だろうって。そしたら自然に陽斗やいずみちゃんの顔が浮かんできたんだ」
緊張のせいで思わず早口になりながら、あたしは一気にそう話した。
「2人にあたしがしてあげられたことはほとんど何もなかった。でもいつか、そうやって過去に苦しんでる人を支えられるようになりたいって思うようになったの。そのために心理学を勉強して、カウンセラーになろうって」
それがあたしがせいいっぱい考えて見つけた道。
そしてこれまで出会ってきた人たちへの感謝のしるしでもあった。
もちろんそれはあたしの勝手で、陽斗には余計なお世話なのかもしれないけど・・・。
陽斗はあたしの言葉を聞いてゆっくり首を振った。
「そんなことない。彩香気づいてた?俺が彩香の言葉にどれだけ救われてたか」
「え?」
思いがけない言葉に驚くと、陽斗はかすかな笑みを浮かべている。
「彩香と話してるとさ、心がどんなにモヤモヤしていてもいつの間にか自分が素に戻ってた。気づくと普通に笑えてた。それが彩香の力なんだよ」
心理カウンセラーに絶対なれるよ、陽斗はよく知っていることのようにそう言ってくれた。
あたしの言葉に力があるなんて、そんなこと考えたことも無かったし、信じられない。
むしろ役立たずで、時には人を傷つけることさえあったと思う。
でも、陽斗がそう言ってくれる以上あたしは前に進まなくちゃいけないんだ。
迷うことはもうやめよう。