レモンドロップス。

 陽斗は電話で話し続けながら、あたしの方を見て小さく笑った。
 

 
 手のひらにあるレモンドロップは、春らしい鮮やかな黄色に輝いている。

 そう、あたしたちの始まりには、いつもこの味があったんだ。


 口に含むと、甘くて酸っぱくて、やっぱり甘い。


 そんな恋に導いてくれた味。


 レモンのような清々しい春風に導かれて、あたしたちはもう一度始めることができる。

 
 

 陽斗の左手をしっかりと握りなおすと、自分史上最高だと思える笑顔を陽斗に向けた。

 今のあたしの嬉しさ、決意、幸せ、どうか伝わってますように。 



 その時、陽斗の左手が確かに力をこめてあたしの手を握った。

 一瞬だったけど、さっきとは違ってはっきりとした力を感じた。


 驚いて陽斗を見上げると、陽斗もびっくりしたように目を見開いている。


 すごいよ、陽斗。

 また一歩前に進んだね。



 
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