レモンドロップス。


 「うん、だいぶよくなった。うん、ごめん。それは・・・え?今から?」

 陽斗はびっくりしたように目を開いた。

 帰ってきたら一発殴る、そう宣言していた乾くんの言葉を思い出す。

 ってまさか、乾くんは陽斗を・・・?  


 「みんな・・・もう来るって?うーん、ninaならあと30分以上かかるけど…」

 陽斗が困ったような顔をしながらあたしを見た。

 どうやら今日のお出かけは中止になりそうだ。

 
 たぶん、ninaに陽斗を待っている人がいる。

 乾くん、浩一郎さん、透さん、鳩田さん。

 もしかしたら、菜美やいずみちゃんもいるかもしれない。

 みんなきっと、陽斗に会いたくてウズウズしてるんだろう。 


 あたしは陽斗を安心させるように、にっこり笑ってうなずいて見せた。

 大丈夫、菜の花はまた今度にしようよ。

 だってあたしたちにはこれからたくさんの時間が待っているんだから。


 陽斗はホッとしたようにうなずき返して、

「わかった、これから行く。うん、大丈夫だよ。絶対行くからさ、2人で」  

 そう言いながら、左手をポケットに突っ込んでゴソゴソしている。


 どうしたんだろう。

 不思議に思って見ていると、左手が小さな包みをつまみ出した。

 とっさに陽斗から受け取ると、手のひらから甘酸っぱい香りが広がる。

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