レモンドロップス。


その日の放課後、あたしたちはいつもの河原にいた。



初めて、あたしが陽斗を誘ったんだ。


あたしが言うと、陽斗は笑って

「おう、俺ちょっとバンドの練習に顔出してから行くわ。彩香も今日は練習あるんだろ?」

「う、うん。じゃあ後でね」


そう言いながら、あたしの胸はほっこりした。

いつの間にか、陽斗はあたしの部活の練習日を覚えてた。

そんな、小さなことが無性に嬉しいんだ・・・。





「あたしって、心が狭いのかな~」

河原で陽斗を待ちながら、思わずつぶやいた。


授業中に見た夢、夢の中のあたしは必死で、かっこ悪い。

何より、もしも陽斗があんなこと答えたら・・・。


あ~、生きていけないっ!!




「何が狭いって?」

振り返ると、陽斗がゆっくり河原の土手を降りてくる。

今日は曇りで、夕日は陽斗を照らしていない。



「な、なんでもない!」


否定してどうする!あたし!


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