レモンドロップス。

「あたし、よくわかんないけど、でも人と人との関係って、知らない間にどんどん変わってっちゃうのかなって思う」


変わってく、人は変わってくんだよ。

幼なじみと思っていても、兄妹と思っていても。

ずっと同じではいられないんだよ。


ホントはそう言いたかった。

あたしはいずみちゃんや菜美のことを考えてて、そう思えて仕方なかった。



「・・・おれは、いつまでも変わらない関係もあると思うけどな」

ポツンと陽斗は言った。


「え?」

あたしがハッとして、陽斗を見ると、


「それより、菜美ちゃん大丈夫なのか?今日も休んでたんだろ」

「・・・うん」


そう、菜美は2日連続で学校を休んでた。

メールも返ってこないし。


「あたし不安なの。菜美、かわいいから今まで失恋したこととかほとんどなかったし」

「他のやつならふざけんなって話だけど、菜美ちゃんならありえるな」



「だから乾君のこと、ほんとにショックだと思うの。悪いことにならなきゃいいけど」


あたしは一気に気持ちを吐き出した。

お願い菜美、元気に戻ってきて・・・!


気がつくと、フワッと手が温かくなった。

「大丈夫だよ」


陽斗はあたしの手を握ると、そう言って笑ってくれた。



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