三つの月の姫君

「こういう事は熱きしとねにて交わす約束のはず。わたし、準備してあります」


 寝室へはいると、ジャコウの匂い立ち込め、赤いシーツに枕元に、二人のイニシャルを描いたハート型の紙が切り抜いてあった。


「お気づきですか? わたしたち姉妹はイニシャルが同じ。誰が一番に使うことになるか、わからなかったから、手入れしてたの」


「あ、ああ……そうなの」


 青年はボーッとしてしまい、それだけ言った。





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