三つの月の姫君
 見る角度や光の加減によって、微妙に色合いを変える。


 それはほとんどが偶然の産物として生まれ、秘密裏にされてきた。


 作り手は決して製法を明かさず、作り方のレシピなども二百年後には保存されてもいない。


(これは文化への冒涜だ。いやらしい!)


 のぞきなんかは映画のネタで見るけれど、のぞきは文化なのだろうか。
 

 一つの禁忌であり、侵してはならない領域があると作品は語っているのだと、感じるらしき青年は、少々保守的な質らしい。




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