三つの月の姫君
 脅かさないでくださいよ! と、言っているのに聞きいれてくれたことがない。


「あの、石像を見ただろう。一つだけ欠けた四角形の台座」
 

 青年は不意に思い至ったように、走り出した。


 台座にはプレートが刻まれていた。


 今なら、難なく読めるはずだ。


 青年は草をかき分けながら走り抜けた。


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