三つの月の姫君

 だが、そんなことは夢のまた夢だった。


 草だらけで誰も手を入れてない庭には、人々が憩う泉も噴水もベンチもなかった。


(どうすんだ、これ)

 
 久々に雇い主以外のことで頭を悩ませる青年だった。



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