天翔る奇跡たち
運命の娘
 

 でも一旦、話を巻き戻してみて?
 
 この人達、白竜を殺すの殺さないのと、物騒な話してなかったっけ。

 それに、戦争をするとかしないとか。

 大変だ! 早くみんなに知らせないと! 

 でも、みんなってだれ?

 あたし達、一体、誰にこの事態を告げればいいの? 

 あたしたち自身は、ただ単に仕事をしに来たんだけど。

 けど、待って! 

 あたしは思い出す。

 我々のリュックにはこの山から採掘したアクア石がたんまり、入っている。

 グリフは難しそうに背後の二人を振り返ってみた。

「この二人のうち、どちらかに事情を聞きたいんだが……アップル、一足先にガナッシュ達に知らせてくれないか。それから女王にも」

「うん、わかった」

 あたしはとりあえず荷物をまとめ直した。

「ああっ、荷物はおいといていい。最小限のものだけにして」

「うん」



 あたしは荷物の中からいい粒ぞろいのアクア石をポーチにいれて、拳を握って気合いを入れた。

 その手には銀色の、グリフと対になっているクリップを握りしめて。




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