天翔る奇跡たち
作戦はガナッシュ、実行はグリフ。で、たまたま小屋の入場口付近に居合わせていたのが、このあたし、だ……。
精霊の娘はこの世界の誰のものでもない、だから、あたし達は必死で言った。精霊はこの世の中全ての共通財産なんだって。失うことはおろか鞭で打ったり、見せ物にするなんてもってのほかだって!
まあ、そこで前述した通りの犠牲をあたし達は払ったんだけどさ。
本当に困ったのはそこからだった。原始の森には、すでに彼女を受け入れる器がない。彼女は行き場を失ったのだ。でも、だからって放置なんてできっこない。
三人が三人とも、意見を一致させたその一件で、あたしのつまらないいじけ気分は抜けていた。その晩初めて、テントの寝袋でひとの温もりを感じて眠りについた。まあ、彼女は中身がコヨーテだったんだけどさ。
……噛まれました、あちこち。お陰で一睡もできなかったのは言うまでもないっていうか! あたしは餌か。ひどっ!