天翔る奇跡たち


 諦めに似た表情でディノーディアさんがこちらを向いた。

「やぶすまにされるんじゃ、なかったの?」

 あたしは即座に尋ねた。

「あれだけ暴れれば、少しは牽制になったか……」

「そうは、いかないみたいだぜ?」

 ガナッシュが遠耳を発揮する。ぱかっと口を開いて、まるでスピーカーみたいにそこから音がする。

 ざりっざりっじゃりっ……チャリリ、リリ……

「毎度思うが、どうなってんだ? オマエの身体は」

 グリフの言い方は思いやりに満ちている。



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