ヤンデレな人たち
5話 ヤンデレのお嫁さん
   最終話 ヤンデレのお嫁さん


「私とお付き合いしてください!」



 今日でもう何度目だろうか。言い寄られる数はとても多い。しかし、青年は全て断って着続けた。



 理由は彼が一市民の貧しい人間で、言いよってくる女性は全て貴族。それも身なりがとても豪華な人たちばかり。名前を聞いてぞっとするほどの名家もたまに現れる。



「……すいません。でも僕とあなたでは」



 いつもそう言って断って来た。



「お前なんで断るんだよ?今日のあの方誰だか知ってるのか!」



 家に戻って父親が彼を怒鳴る。もちろん理由は今しがたのことで、青年も母親もそれに刃慣れっこである。



「でも、父さん。僕とあの人たちでは全く身分が違いすぎる!そんなところに婿に行っても、幸せなんてあるとは思えない。それに俺はこの仕事を継ぎたいんだ。この家を出ていくことはしない」



「だからって……」



 父親が二の句が継げなくなっていると、そとで声が聞こえた。どうやら客のようだ。



「すまん、ちょっと頼めるか」



 父に頼まれ青年が出ることに。仕事と家のことをすっぱり切り離して考えてる父親はある意味で素晴らしいとも彼は思っていた。



「これおひとつ頂けますか?」



 店頭にいたのは可愛らしい少女であった。しかし、着ている服装や立ち振る舞いから見て、青年はすぐに彼女も貴族だと確信した。



 しかし、どうしてか彼女のことを背中が震えだした。貴族のような立ち振る舞いの反射的な感じなのか、それともまた別な何かか。



 青年はすぐに一店員として彼女の欲しい商品を取り出して紙袋の中に詰めて手渡す。そして彼女が金貨で払う。
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