教育実習日誌〜先生と生徒の間〜

出逢い


「あ、新しく来た子だよね?

確かミウちゃんっておばさんが言ってたっけ?

俺、3年のトモアキ。

ここではみんな家族同然、下の名前で呼び合うことになってるんだ。

よろしくね!」



初めて下宿を訪れた私を案内してくれたのが、トモアキ先輩。


サラサラの髪の毛に、知性を感じさせる黒いフレームの眼鏡男子。


こんなかっこいい先輩と、これから一緒に暮らすんだ……。


せっかく話しかけてくれたのに、ドキドキしてまた何もしゃべれなくなってしまった。



私はミウ。とっても内気で、しゃべることが大の苦手。


場面緘黙症といって、大勢の前や、慣れない場面で話すことができなくなってしまう私。


高校入学を機に、頑張ってそれを克服したいなって思っていたんだけれど。


こんなかっこいい人とずっと一緒だなんて、ここでもしゃべれなくなっちゃいそう!


そんなことを考えていたら、先輩が優しく笑ってくれた。



「ああ、無理にしゃべらなくてもいいよ。

話をきいて、首を振ってくれるだけでもいい。

俺なんて緊張するような相手じゃないから、慣れてくれたら嬉しいな。

仲良くしようね、ミウちゃん!」



トモアキ先輩は私のことを理解しようとしてくれている!


そう思ったら、私はますます顔が熱くなってきた。


今、きっとものすごく赤い顔をしてるよ、私……。

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