教育実習日誌〜先生と生徒の間〜

その日、私は困っていた。


教科書と学校指定のジャージや上靴などを買いに行かなくちゃならないけれど、それぞれのお店の場所が全然わからない。


こんな時、私は本当に困ってしまう。


だって、道に迷っても、知らない誰かにたずねることができないから。


下宿の玄関で、入学のしおりに印刷された地図を見て、とりあえず行ってみようと思った時。


「良かったら一緒に行かない?」


トモアキ先輩が声をかけてくれた!


嬉しくて「はい!」と返事をしたら


「あ、ミウちゃんの声、初めて聞いた!

……可愛いな」


と言ってくれた。


トモアキ先輩に、可愛いって言ってもらえて、しかも一緒に買い物へ行けるなんて!


私は嬉しくて、とても幸せな気持ちになった。


もしかしたら、私……トモアキ先輩が好きになったのかも。



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