教育実習日誌〜先生と生徒の間〜
「それって、期待してもいいのかな?
俺はさ、言いたいことをストレートに言いすぎていつも失敗するんだ。
ミウちゃんは言いたいことを考えすぎて言葉が出ないんじゃないか?
……待ってる。ミウちゃんの答えを」
その日の夜、ずっと考えた。
まだ知り合って2週間しか経っていないけれど、私は先輩が好き。
臆病で、うまく話せない私を、いつもフォローしてくれた先輩。
下宿にいる他の男の先輩とは、未だにうまく話すことができないけれど、トモアキ先輩とだけは普通に話せるようになっていた。
なのに。急に告白されて驚いたらまた、話せなくなってしまった。
話したい。ちゃんと自分の気持ちを素直に伝えたい。
でも、先輩の顔を見ながら話せる自信がない……。
入学式。お母さんが来てくれた。
まだ初日だから、担任の先生の紹介と、式典だけで終わった。
式が終わってすぐ、お母さんは家に帰ってしまった。
また、下宿先でひとりぼっちになって、すごく寂しい。
友達、ちゃんとできるかな?
普通に話すこと、できるかな?
不安な気持ちばかりがつのって、すがりたくなってしまった。
私は、覚悟を決めて、すぐ隣の部屋にいる先輩に、メールを送信した。
『私も、先輩の事が好きです。
過去形にできません』