教育実習日誌〜先生と生徒の間〜
一週目・実習五日目

実習生の選択


【菫の実習日誌】


朝の職員朝会で、いつものように先生の横に座っていた私。


会議は滞りなく進行していく。


司会の先生が、生徒指導部長にマイクを渡す。


マイクを渡されてすぐに発せられた言葉は。


「え~、ここから先は生徒指導上の機密事項になりますので、実習生は控え室で待機してください」


何のことだろう?


首をかしげた私に、先生がこっそり囁いた。


「何かやらかした生徒がいるけど、実習生には聞かせられないんだ」


久しぶりに聞いた、先生の『素』の状態の口調に、ちょっぴりほっとした。


実習生がぞろぞろと職員室を出て、すぐ隣の会議室へ移動する。


「あ、俺、聞いちゃったんだ。

3年生の男子が、パチンコ屋にいたところを捕まったらしい。

生徒が言ってた。多分それで停学とか、そんな話だと思う」


渡辺君がこっそりみんなに話しかける。


なるほど。それで私たちは職員室から出されちゃったのね。

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