教育実習日誌〜先生と生徒の間〜
「ま、せっかくここに全員集まってるんだし。
今夜なんだけど、7時に駅前の居酒屋『赤紫』に集合ってことで」
あ・・・・・・忘れてた!
美羽ちゃんとの約束もあったし、私、行けないんだった。
渡辺君に断ろうとしたその時。
隣に座っていた裕香が私の袖を引っ張った。
「あのね菫、私、聞いて欲しい話があるんだ。飲み会、一次会だけ参加したら付き合って」
え?
他ならぬ裕香の頼みだから、絶対に聞きたいと思う。
でも、今、最優先なのは美羽ちゃんの事。
「ごめん裕香。今日、どうしても大事な用事があって、飲み会自体行けないの・・・・・・。
できれば、他の日にしてもらえないかな?」
裕香は、見るからに落ち込んだ顔をしていた。
本当にごめん。
「そっか、わかったよ。自分で何とかしてみるから気にしないで」
無理に笑おうとしている裕香の目は、私を見ていなかった。