教育実習日誌〜先生と生徒の間〜

「ま、せっかくここに全員集まってるんだし。

今夜なんだけど、7時に駅前の居酒屋『赤紫』に集合ってことで」


あ・・・・・・忘れてた!


美羽ちゃんとの約束もあったし、私、行けないんだった。


渡辺君に断ろうとしたその時。


隣に座っていた裕香が私の袖を引っ張った。


「あのね菫、私、聞いて欲しい話があるんだ。飲み会、一次会だけ参加したら付き合って」


え?


他ならぬ裕香の頼みだから、絶対に聞きたいと思う。


でも、今、最優先なのは美羽ちゃんの事。



「ごめん裕香。今日、どうしても大事な用事があって、飲み会自体行けないの・・・・・・。

できれば、他の日にしてもらえないかな?」


裕香は、見るからに落ち込んだ顔をしていた。


本当にごめん。


「そっか、わかったよ。自分で何とかしてみるから気にしないで」


無理に笑おうとしている裕香の目は、私を見ていなかった。


< 92 / 290 >

この作品をシェア

pagetop