マスク・ドール
深夜
深夜、女性は1人で家路を歩いていた。

まだ20代で、スーツに身を包んだ女性は美しい顔立ちをしていた。

10代の頃は読者モデルもしたことのある女性は、しかし今は不安そうな表情を浮かべていた。

すでに日にちは変わり、電車も終電が終わった時刻。

残業で遅くなり、同僚からはタクシーで帰るように言われた。

けれど給料日前で手持ちが少なかった為、いつものように電車に乗って帰って来た。

しかし駅からでもタクシーに乗れば良かったと後悔していた。

駅から住んでいるアパートまで、歩いて15分程度。

だからタクシーを使うこともないだろうと思ってしまった。

しかし暗い道、すでに人気は無く、近くにある家の電気も消えている所が多い。

それが余計に心細くさせる。

カバンを強い力で掴み、早足で歩く。

しかし…背後から気配を感じていた。
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