天使と野獣

腕を蹴られた木原も骨を折られたのか
苦痛にうめきながら、

それでもどこにあったのか
左手に金属バットを握り、
襲う構えを出している。


金属バット… 
じゃあ、昨夜襲って来たのはこいつか。

暗かったから顔もはっきり覚えていないが… 

刑事のくせに悪人たちの用心棒までしていたのか。

いや、こいつらが主犯のように言っていた。


京介はそんな事を考えながら木原を見ている。

木原は警部と言う佐伯が気になるのか、
やっと立ち上がったところの佐伯を襲う構えだ。


その間に京介は、

望月たちの傍にいた二人の男を
肘や拳をまるで本物の武器のように動かし襲い、

あっという間に倒している。

その動き… 
第三者として見ていても

見失うほどのそのスピード感、人間業とは思えない。

まさに獲物を狙うタイガーそのものだ。


その時木原が目標を変えて
京介に金属バットを振り下ろした。

が、慣れない左手での動きなど相手になるものではない。

瞬く間にバッドを蹴り落とされ、
拳で腹を突かれて伸びた。



「危ない。」



しかし、気づいた時、
ピストルが佐伯を狙っていた。


奥にいた三人が出て来て、
事の次第に驚き、逃げるために、

床に転がっていたピストルを拾い、
警察官を傷つけて逃げようとしているのだ。


そう言えば、空港での襲撃も… 
犯人が逃げるために、無差別に周囲の人を傷つけた。


あの時の光景も甦った。

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