天使と野獣
「ほう、わしの考え方と似ているなあ。」


医者も税理士、会計士も… 
とにかく国家試験.

それをどこの大学で取得するのかで
その先の進路が決まると言われる。


栄はただ医者になる、と言う事だけで大学へ行った。

安本も… 最終的に独立を目指すなら、
とにかく一日でも早く資格をとる、と言う考えは正しい。

とにかく、いかに有意義な学生生活を送るか、だ。



「はい。僕の性格では… 

一年勉強して受験、と言う事になっても、
またこの時期になればプレッシャーに、

現役の受験生に押されない事を必死で、って事になるより、
このまま自分の道を進みます。

あっ、僕、明日から宮城へ行きます。」


「宮城へ。」


「はい。伯父が農業をしていて… 

農業などしたことが無いので不安ですが、
できる限り頑張るつもりです。」



安本と農業… 
どう考えても邪魔になるだけのようだが、と言う顔をして、

京介は運ばれてきた一口ステーキを口に入れた。



「そうか。それは良い事だ。
今までは勉強一筋だったから、

農業を手伝いながら思いっきり太陽を浴びてきたらいい。

新しい生活に向う、
新鮮なエネルギーも生れるってものだ。
安本君、頑張れよ。」



さすがは栄、
安本は嬉しそうな笑みを浮かべている。



「東条はどんな事をして過ごすのだい。」



安本は栄に承諾してもらい、
気が楽になったように京介に声をかけた。

しかし、京介は相変わらず子供っぽく、無視だ。



「なあに、こいつも君と同じで体を動かす。
空手に精進だよ。」


「ああ、そうでしたねえ。
フフッ、東条の第一希望は用心棒だった。

まだその希望もあるのかい。」


「当たり前だ。
俺は口に出した事はたがえない。

医者と用心棒の二刀流で行くことに決めた。
安本、お前、頑張れよ。
俺も、お前ならできると思う。」



京介が安本を、父の友達、として認めた瞬間だ。

隣では栄が満足そうな笑みを浮かべ、
新しい人生に向って歩み始める二人を見ている。 了

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