泥もしたたるいい女



神様は何時だって意地悪だ。



何もこんな時に。


黒色のバンが歩いていた私に津波のような真っ黒の泥水を頭から被せてくれた。まぁもともとびちゃびちゃだったし?別にいまさらこのワンピースがよごれようがパンプス濡れようがツケマとるようが関係ないし

関係な…い…け、どさぁ…


今度こそ被害妄想じゃない回りからの嘲笑に似た笑い声

今まで車に水かけられて運転手が降りてきた試しなんかない
衝撃で吹き飛んだ傘なんか拾いに行くことだって億劫だ。今更だし。



もういいよね?我慢したよね?仕方なくね?だってだって

冷たいんだもん。体にあたる雨が一番私を嘲笑ってる。


「ヒック…ヒッ、フゥ、うゎぁあん」


こんないい大人が、道のど真ん中で声を上げて泣くのなんてどうよって思うけど。

もー無理。無理無理無理無理。
バカバカバカバカ雨のバカ!!!!





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