泥もしたたるいい女
「ごめんなさい大丈夫ですか!?」
そんな声と共に雨の衝撃が消えたのはそれからすぐだった。
俯いた顔を上げる事もできず頭を横に振る。
「本当にすみません。急いでたもので…これ、タオル清潔だから。」
低いなめらかな声と俯いた視界に映る黒い大きな革靴にそれが男で話の内容からどうもバンの運転をしていた事が伺える。
「びちゃびちゃだな…今忙しいですか?時間とか大丈夫?」
頭に暖かいフワリとしたタオルが触れ、遠慮がちに頭を拭う。
いつの間にか涙は引っ込んだが大泣きしていた恥ずかしさからまだ顔を上げる事ができずただ首を横にふった。