蜜に恋して
「こらっ!だれー?蜜にお酒飲ませたの」
ユキにコツンと頭を叩かれて、陸が迷惑そうな顔したところまでは何となく覚えている。
私は体に従うがまま、意識を手放した。
「も〜っ。蜜もこのみんも寝ちゃってどーすんのぉ?」
それぞれが好きに話し始め、ユキナはつぶやいた。
「あー、リカさんに何て言えばいーんだよ…。」
陸は末恐ろしさに顔を歪めている。
そんな陸の隣で更に不機嫌そうな顔をしているのが陸の彼女、美沙である。
「美沙、悪ぃけど今日は…」
「今日はなに?家まで送ってくれるんだよね?」
サラっと空気を読まない発言をする美沙に、ユキナが顔を歪めるのを陸は横目で確認した。
「美沙、ごめん。」
「……っなんで!?私は陸の彼女でしょ?どーして蜜ちゃんのこと優先すんのっ?」
美沙の言うことが正論だと分かっているが為に、何も言い返せない。
「美沙…、俺らやっぱり…」
「やだよ?別れるなんて絶対無理だから。」
涙を溜めてそう言い放ち立ち去る美沙を、陸はただただ見ていることしか出来なかった。