Love Slave
走りながら思った。


(あの、サディスト生徒会長が!!)


足が棒になる。偏平足だから疲れやすい。ゼーゼーしながら両膝を押さえる。
一般コースと進学コースの校舎の明かりはないけど、生徒会棟の天辺だけに灯火があった。


「遅いっ」


突然の大声にビクッとした。会長が仁王立ちで構えていた。


「ご主人・・・・様・・・・」


弱々しい声で応える。


「今何時だと思ってるんだ?もう8時になるぞ。・・・・来ないかと思ったぞ」


「それは・・・・」


「シャラップ!!ここに来たということは問題を見事に解いたということだな。だが、遅刻は許さないと忠告したはずだ、・・・はい、正座。そして土下座!!」


私はご主人様の言うとおりにする。月明かりに照らされた会長のドSフェイスは狼のような野獣に見える。
また私を中心にぐるぐると回り始める。


「俺の断りなしに帰りやがって」


「それについては、その・・・・・」


「言い訳は聞かん。お前の過去などどうでもいいし、興味もない。ただ、これだけは言っておく。自分の黒歴史を他人に押し付けるな!!」


グサッと身体に槍が刺さったみたいになった。確かに、思いやがりだったかもしれない。あの場から、奴らから逃げたくて気が動転していた。


「・・・大和、それぐらいにしたら?彼女も反省しているみたいだし?」


副会長が後ろから現れた。そして、私の手を取り、立ち上がらせてくれた。副会長だけじゃない、椚先輩や等々力先輩もいた。


「早乙女さん、屋上に行ってみてください」


「・・・・屋上?」


「・・・・・・」


椚先輩が最上階の生徒会室の上を指差した。
< 102 / 281 >

この作品をシェア

pagetop