Love Slave
信じられない、問題は渡しといて答えはないなんて。
呆れて言葉も出ない。


何だか一生懸命やったのに、損した気分になった。


窓の外を見ると、陽はすっかり落ちていて、茜色の空が藍色に染まろうとしていた。時間は5時を過ぎている。


「もうこんな時間・・・・」


まだ夕食まで時間がある。それまで何していよう。
私は手作りのテキストをジッと見つめる。


(答えを忘れるなんていうケアレスミス、あの会長がするか?私だったらするかもしれないけど・・・・)


私はまた始めのページに戻った。答え合わせは出来なくても、見直しぐらいは出来る。普段だったらそんなことせずに答え合わせするのだけれども。


問題を小声でブツブツ言いながら再び解く。記号が多いから結構迷った。自信があっても心配になる。


「これがワで、この問題はガで・・・・」


あることに気づいて、口からあっと声が漏れた。


(この解答欄・・・メッセージになってる!)


記号と文章を照らし合わせながら解いていく。途中、文章と合わないものがあれば間違ってるということ。相応しい記号を入れていく。


「これ・・・・・」


熱中しすぎて、時が過ぎるのを忘れていた。額に汗が浮かび上がっている。
文章が完成した。グッと手の平に爪を食い込む。
時間は・・・・7時前。どうする?


私は階段を駆け下りて、玄関を弾き飛ばした。


「ちょっと・・・・行ってきます!」


この時間だったら電車もバスもある。テキストを筒状に握りしめ、私は薄暗くなった街中を掛け出す。



ワガドレイニツグ

ゴゴシチジマデニセイトカイトウヘコイ
クルカコナイカハオマエシダイダ

モシコナイノデアレバソレデイイ

ダガクルノデアレバチコクハユルサナイ


オマエノゴシュジンサマヨリ
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