Love Slave
そう呼ばれた時、最初は返事をしなかった。2回目に「撫子ちゃん」と呼ばれた時、ようやく「ん?」と返事した。


「な、撫子ちゃんって・・・・」


「『大和の撫子』って意味で撫子ちゃん。大和といっつも一緒にいるし」


「一緒にいるのは・・・・」


まさか、本当の関係は『ご主人様と奴隷』だなんて言えない。


「ひょっとして、そう呼ばれるのは嫌?もとか、のほうがいい?」


「・・・・撫子ちゃんでいいです」


呼び捨てにされたら心臓が破裂して昇天してしまいそうだ。会長の「もか」といい、副会長の「撫子ちゃん」といい、この生徒会に入ってから妙な愛称が付けられているな。


「さっき質問しようとしたことだけど」


「はい?」


「僕と結婚してくれないか?」


時間がストップした。私の身に何が起きたというのか。
自分の耳が故障していなければ、今聞いた言葉はおそらく間違ってはいない。


「け、結婚ですかぁ!!!?」


「うん、そう」


にっこりと頷いた。頭の中がこんがらがる。身体中が溶けそうに熱い。顔もどんどん紅潮していくのが分かった。


「それって、プロポーズってことですか!?」


「ダメなの?」


「ダメっていうか、何というか・・・・」


何でこんなストレートにプロポーズしてくるなんて、何を考えてるんだ。確かに顔に囚われず、未来に向けて歩いていこうって決意したけど、結婚の事までは考えていない。


(嬉しいけど・・・・)


「大和の事、好きなの?」


「会長の事は好きってことはありません!」


断言した。あんな最低なドS会長、好きじゃないもんっ。


「それじゃ、僕にも脈ありってことだよね♪」
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