Love Slave
「キス・・・・ですか!?」


「うん、キス」


それはドキドキな罰ゲーム・・・じゃない、いきなりそんなこと言われたって・・・・。


「キスって言ってもほっぺでいいんだよ?」


ハッと思った。キスはキスでもいろいろなキスがあることを。


「なんなら、マウストゥマウスだっていいんだよ?」


慣れた手つきで私の顎を持ち上げる。即座にパッと放した。
会長にキスされた時の事がシンクロする。


(ダメだ、調子狂う・・・・)


落としたパンは鍋の奥底に沈んでいる。まさか、こんなことでこんな事態になってしまうとは。


「・・・キス、してくれないの?」


副会長が捨て猫が訴えてるみたいな瞳で私を見つめている。罰ゲームといえど、これはスイスのルールであって、ここは日本。でも、そんなのは言い訳にはならないだろう。


(生徒会に入った時に群衆の前でキスされたっけな)


入った時の事を思い出した。副会長はみんなの前で堂々と私の頬にキスをしてきた。今回はカフェテラスで二人きり。厨房からはこの様子は見えない距離。


身体をもじもじさせる。副会長は隣でわくわくしている。


「じゃあ・・・・」


ぐっと目を瞑って副会長の頬に唇を近付ける。


・・・・・ちゅう


当たりが悪かった。自分でも下手くそだと思った。中学生が初めてデートした時にするぎこちないキスみたいだった。
気まずかった。こんな下手なキスをしただなんて。


「わー、ありがとう」


私の不安は彼の笑顔で吹っ飛んだ。こんな下手なキスを喜んでくれた。
沈黙してしまう。でも、心の中では火山が爆発してしまうくらいに恥ずかしかった。


「航一朗様、こちらを」


「え?これって・・・・」


料理長が持ってきたのは大きなイチゴが乗った豪華なパフェだった。


「これも奢り。このお礼も兼ねてさ」


キスされた頬に指を突っつく。お礼をしたいのはこっちのほうなのに。


「好きでしょ?」

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