Love Slave
ムッとした。元はと言えば会長が無理矢理押し付けたじゃないか。確かに何も答えられいないけど。


「大和様、航一朗様のプロポーズ発言に異議ありということですが・・・・」


一度、ごほんと咳払いをする。


「まあ、男と女ですからね。恋に発展するのも悪くないと思います。でも、俺の可愛いペットをそう簡単には手放せません」


「な・・・・・っ」


なんて爆弾発言っ。これでは二人の交際を認めないし、私は俺の物だと言っているようなもの。


「おお、これは一切カットできませんよ?っていうか早乙女さん、貴女はどうなんですか?」


「えーっと・・・・」


強制的にマイクを持たされる。ただでさえ、質疑応答が苦手なのに・・・・。


「彼女が困っているようなので、二者択一にしましょう。会長と副会長、どちらのほうが好きですか?」


ゴンッ


おでこに強くおでこをぶつけてしまった。痛いには痛いけど、それどころの騒ぎではない。
日向先輩は最終手段に入った。もうこれ以上は長引かせるわけにはいかないと。


「あ・・・・・・」


全員が私に注目する。会長の事が好きか、副会長の事が好きか。片方の名前を挙げたりしたら、もう片方は嫌いだって意味になってしまう。


「両方とも・・・・好きです」


「え~、両方ともですかぁ」


いかにも残念そうな顔で言われた。だった、こう答えるしかなかった。好きって意味もLOVEではなくLIKEということ。


「どちらかハッキリしてくださいよぉ。このままだと、『早乙女もとかの二股疑惑』が真実ということになっちゃうわよ~」


恐ろしいことを言われた。「両方とも好き」という言葉は報道陣としてはつまらない答え。もっと動揺してほしいと思っている。
今、私はこの二人のイケメンに挟まれている。周りからはこの二人を相手にしている尻軽女とでも思われているだろう。


(ど、どうしよう・・・・・)


「もちろん、俺の方が好きだよな?」


肩を寄せられた時、カメラがズームアップする。
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