Love Slave
「うわっ・・・・」


いきなり何をするのかと思いきや、椚先輩は私を軽々とお姫様だっこした。
身体中がカチンコチンになる。


「あの、すみません・・・。重いのに・・・・」


緊張して声を震わせて言ったら、耳元で囁かれた。


「・・・すげぇ重い」


マジでカチーンときた。乙女に最大のタブーを言ったゾこの男!!


会長とは別の意味で腹が立つ。


店の裏に行くと、一台の高級なバイクが停めてあった。


「これ、先輩のバイクなんですか?免許持ってたんですね」


「・・・・・・・」


人が質問しているのに、何も応えようとしない。応えるのが面倒臭いみたいな態度。
こんな奴に看病なんてされたくない!


「いいです先輩。一人で帰れますし、手当ても必要ありません」


「・・・あっそ、じゃあ勝手にすれば?」


いとも簡単に切り捨てた。あっさりと私を下ろす。


「それじゃあ、さようなら・・・・」


グギッ・・・・


「・・・・・・・!!」


足が地面に着いた途端、激痛が全身を駆け巡り、その場でしゃがみ込んでしまった。再度立てなくなってしまった。


それを見た椚先輩はハーッと一つ、ため息をついてぐいっと私の腕を掴み取った。


「え、ちょっと・・・・・」


私を問答無用でバイクの後部座席に座らせ、白のフルフェイスのヘルメットを被せる。直後にブロロロンと激しいエンジン音を鳴らし、本人もバイクにまたがる。


「・・・しっかり掴まってろよ。吹っ飛んでも責任は負わないからな」


どんなにエンジン音がうるさくとも、その低い声はしっかり耳に届いた。


・・・・完璧に私の負けだ。
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