Love Slave
バイクが風を切り裂きながら猛スピードで夜の街を駆け抜ける。空圧で本当に吹き飛ばされそうになる。
そうならないために、私は椚先輩の腰の部分に掴まる。


普段はクールガイの冷たい男なのに、背中は予想以上に大きくて、火傷しそうなくらいに熱かった。しかも相当鍛えているらしく、かなり筋肉が引き締まっていた。


(何だろう・・・・私、すごくドキドキしてるよ・・・・)



20分ほど飛ばしたところでたどり着いたのは、一軒の高級マンションだった。またお姫様だっこされてマンションの中に入る。住民に見られてしまわないかひやひやしてしまう。


エレベーターで17階へ行く。最新の防犯設備が備わっているらしく、玄関のカギは住民の瞳孔だった。
中は真っ暗だったが、住民が帰ってきたことを判断し、自動的に電気がつく。


感想は、ただ広い部屋だということ。必要最低限の家具しか置いておらず、ほとんど殺風景だった。
リビングの奥のソファーに私を下ろす。


「あ、あの・・・・ご家族の方は・・・・?」


「・・・一人暮らし」


こんな広い部屋に一人で住んでいるのか。メンバー全員がお金持ちと言われていても驚いてしまう。


(貧乏人なのは私だけじゃん・・・・)


椚先輩が救急箱を持って私のところに戻ってきた。


「・・・足見せろ」


「は、はい!」


痛いほうの足のズボンをめくり上げると赤く腫れあがっていた。


「・・・・・・」


「いだだだだだ!!」


何も言わずに椚先輩は足をひねらせてきた。ひょっとして、喧嘩売ってんの?


「・・・全治3日ほどの捻挫だな」


ひねっただけで診断できるのか?湿布を貼りつけて、丁寧に包帯を巻きつける。


「・・・どうだ?」


足を振り子の要領で動かす。


「すごーい、痛くない!」


おまけにちゃんと立てるようになった。
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