Love Slave
「・・・ただの暇つぶし」


あっさり教えてくれた。むっとした顔したのに。


「そ、それだけですか!?」


「・・・授業サボってたら誘われた。副会長に」


「副会長がですか!?」


選挙のほかに推薦という方法もあるが。確かに会長と椚先輩はいつも対立してるし・・・。


「・・・俺が税理士や会計士の資格を持っていることを知って、会計にちょうどいいって言われた」


椚先輩って税理士や会計士の資格を持ってたのか。前に副会長から「要は会計のスペシャリスト」だとは聞いていたが。


「どうしてわざわざそんなものを・・・・」


「・・・この遺伝子から解放されたかった」


遺伝子、医者の血か。医者と聞くだけで反吐が出ると言う。
あんなひどい兄貴もいるもんな。税理士にでもなって、会計事務所でも設立するつもりだったのか。


(でも・・・・・・)


私は腫れの引いた足をジッと見つめ、そして、ギュッと先輩の手を握った。
細い目が、ハッと見開いた。


「もったいないですよ、人を治す力があるのに。そりゃあ・・・・そんな一族に生まれたことを憎む気持ちは分かりますけど、それならなぜ私を助けてくれたんですか」


医者が嫌なら、医術の心得なんて備えていないはずだ。
その血を、誇りには思わないのか。


「椚先輩は私の足を治してくれました。普通のお医者さんよりも丁寧で、的確でした。それから、治療していた時の姿、キラキラしていましたよ」


無言から無視へと変わる。聞く耳を持たないという感じに、パシッと私の手を振り払い、椚先輩は背を向ける。


「・・・医者にはならんと言っただろうが」


「そんな・・・先輩!」


「聞き捨てならねぇな」


「会長・・・・!」


扉の前で会長が腕組みしながら、仁王立ちしていた。
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