Love Slave
繭さんが来た日、生徒会のミーティングが予定に入っていたが、急遽中止になってしまった。


「撫子ちゃん、家まで送るよ」


今回は副会長が送ってくれた。送ってる間も、繭さんについて一切語ろうとしなかった。
私自身も、恐くて聞けなかった。


「それじゃ、また明日」


「はい、お疲れさまでした」


ハードな一日だった。いろいろな意味で。


ベッドにうずくまる。
目を閉じると、繭さんの恐い眼が浮かんでくる。


あの眼は真剣本気だった。冗談ではなかった。


「会長は本当に、繭さんと・・・・・」



気づけば朝になっていた。夕飯も食べず、風呂にも入らず、歯磨きもしないで寝ていたものだから、母親にすごい怒られた。
っていうか、一度も起きずにいたなんて、よほど疲れていたんだな。


プップー


「げっ、来てるじゃん!」


もう迎えの時間になっていた。昨日はあれから会ってないけど。
クロワッサンを口に押し込めて、安元が車のドアを開ける。


ブスッとした顔の会長が足を組んで座っていた。


「おはようございますぅ・・・・・」


「・・・・・・・」


沈黙が恐ろしい。昨日と気分が真逆だ。会長のほうが機嫌が悪い。


車が発進しても二人の間に会話はない。


(恐いよー、恐いよー)


「・・・・なあ」


「は?」


景色を見ながら、私と目を合わせずに聞いてきた。


「お前は俺がいなくなったらどうする?」
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