Love Slave
「繭ちゃんって、姉妹校があるロサンゼルスに行ってたんだけどね」


「まさか、突然帰ってくるなんて思いもしませんでした」


「・・・あの女、ウザい」


椚先輩が叩かれた腕をさすりながら、ぶっきらぼうに言った。


「あの、婚約っていうのは・・・・」


すると、副会長が思いつめながら語った。


「草薙財閥と三枝グループは深い関係があってね。あの二人はもう生まれた時点で腐れ縁みたいなものよ」


「お二方とも、世界有数の大富豪。しかも父親同士に親交があって、その流れで婚約という形になってしまったらしいです」


「・・・大和はあの女を嫌ってる」


それは椚先輩も同じらしい。


「大和は昔から繭ちゃんが苦手でね。いつも猛アタックされてるんだ」


「強引ですからね、あの方は」


強引ってもんじゃないでしょ、あれ。
無理矢理キスしてたし!


「・・・・一騒動ありそうだね」


「繭さんが来たことで、何か起こるのは予感していました」


「・・・面倒臭ぇ」


「何、何なの!?」


私だけが状況を理解できていない。
三人はこれ以上は語ろうとしなかった。教えてと聞いても、応えてくれない。


一騒動って何?


繭さんは婚約発表しに来ただけじゃないの???


平和になったと思っていた日常が、再びブレ始める――――――――。
< 233 / 281 >

この作品をシェア

pagetop