Love Slave
腕の力だけであたしを持ち上げる。
凄い腕力。


会長の隣で、太い幹の上に座る。
下を見ると、割と高い位置。落ちたら、死にはしないだろうが大怪我しそう。


「何下ばっか見てんだよ。向こうのほう見ろよ」


「え・・・・・・」


会長の目線の先に焦点を合わせる。


絶句した。言葉にならないくらいの景色。
街全体が一望できる。


「すごい・・・・眺め・・・・」


「お前の眺めは良くないな」


さり気なく言った一言に反応して、バッと胸元を両腕でクロスさせる。


せっかくの感動が台無し。


「人に見せといて、それはないんじゃないですか!!」


会長には良心というものを持ち合わせていないらしい。
常に意地悪。だけど、人に対する思いは強い。


「ここさ、俺のお気に入りの場所。思い悩んだりすると、いつもここに登って街を眺めている」


「会長でも、悩む事ってあるんですか?」


「あるに決まってるだろう。俺を何だと思っているんだ」


「・・・・史上最強のドS」


「今すぐここから落ちろ」


「落ちる、落ちる!」


マジで背中を押してくる。女だからって容赦しない。
言い返しても、私は結局敗北してしまう。


「分かりました、ごめんなさい!ごめんなさいぃぃ」


「よろしい」


やっと放してくれた。押し方からして本気だった。


「・・・・なあ、やっぱお前、奴隷解放するわ」
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