Love Slave
細い路地に入っていく。
ジタバタ暴れても、会長は離そうとしない。


「会長、会長ってば!!」


でも、ここの路地に見覚えがあった。
一度だけ通ったことがある。


入学式のときに・・・・・・。


「着いたぞ」


やっと下ろしてくれた。


「ここって・・・・」


顔を真上に上げる。
太い幹に注連縄。あの時は満開の桜が咲き誇っていた。


「俺のお気に入りのスポット」


「・・・・・・・」


思い出した、思い出した。
ここが総ての始まりの地であることを。


「もう、半年以上も前の話なんですね。この木の下で会長と出会って・・・・」


携帯を落として、スピーチを強要されて、生徒会メンバーにされ、そして・・・・。


「奴隷になったってわけか」


鼻でハッと笑われた。


「そんな風に言わないでくださいよ!こっちだってあの時は大変だったんだから・・・・」


話がまだ終わってないというのに、会長は「よっと」と声を漏らして、木に登り始めた。


「何やってるんですか!会長といえど、これは御神木ですよ!?」


「大丈夫、ここの敷地は草薙財閥の私有地だ。問題ない」


そんなこと言われても、神として祀られているのに・・・・。


「お前も来いよ」


「で、でも・・・・私、ドレス姿だし・・・・」


「いいから、いいから」



< 276 / 281 >

この作品をシェア

pagetop