Love Slave
私は疑念の想いがありつつ、震える声でその名を呼んだ。
「近江さん……」
近江さんはチッと舌打ちする。とうとうバレたか、という顔だ。
「近江吏沙、名家・近江家のお嬢さんか」
副会長は独自に調べた彼女のプロフィールを言う。
というか、この学園女子生徒のプロフィールは全部頭の中にインプットされているらしい。
「……そして、本来入学式にスピーチをやる予定だった人物か」
まさか、と思った。やる予定だった人が入院してしまい、それで私が(成り行きであるが)急遽スピーチをやるはめになった。
それが彼女だったとは。
近江さんはダンッ、と八つ当たりに校舎の壁をローファーで蹴る。
私と会った時とは違う表情、眉を吊り上げて鬼の形相が浮かぶ。これが本性らしい。
「……そうよ、私が今までコイツらに早乙女もとかに嫌がらせするよう支持した首謀者よ」
高笑いしながら今までの犯人だと名乗り出る。
私はショックを隠し切れない。
「じゃあ、私に近づいてきたのは……」
「アンタの味方につけて安心させるために決まってるじゃない。そうすれば嫌がらせするのに丁度いいしね。ホントに御しやすかったわ。まさかこんな奴が生徒会に入れるなんて、臍で茶が沸きそうよ。誰がアンタの友になるもんですかっ」
完全なる知能犯。金で人を操り、当の本人は傍観者として楽しんでいた。
吏沙は苦虫を噛み潰したように顔を顰める。
「ずっと生徒会に憧れてた。いつもHPをチェックしているくらいに大ファンだった。成績は中の下ぐらいだったけど、天帝を受験できるように猛勉強した」
その甲斐あって見事に合格。しかも、進学コースの生徒を差し置いて高校入試のトップに躍り出た。
それをきっかけに、新入生代表として演説の話が舞い込んできたのだ。
「もう、夜眠れなくなるぐらい嬉しかった。普段、近づけない生徒会の傍に行けると思って毎日特訓した。だけど、入学する3日前に高熱で緊急入院することになって……」
これほどのチャンスを手に入れたのに、断念せざるを得なかった。辞退する、という連絡をした後は涙が止まらなかった。
「そして、入院中に配信された入学式の映像を観た時・・・・!!」
眉間に皺を寄せ、私をキッと睨みつける。
その眼は、憎しみでいっぱいだった。
ゾクッと首筋が粟立つ。
「近江さん……」
近江さんはチッと舌打ちする。とうとうバレたか、という顔だ。
「近江吏沙、名家・近江家のお嬢さんか」
副会長は独自に調べた彼女のプロフィールを言う。
というか、この学園女子生徒のプロフィールは全部頭の中にインプットされているらしい。
「……そして、本来入学式にスピーチをやる予定だった人物か」
まさか、と思った。やる予定だった人が入院してしまい、それで私が(成り行きであるが)急遽スピーチをやるはめになった。
それが彼女だったとは。
近江さんはダンッ、と八つ当たりに校舎の壁をローファーで蹴る。
私と会った時とは違う表情、眉を吊り上げて鬼の形相が浮かぶ。これが本性らしい。
「……そうよ、私が今までコイツらに早乙女もとかに嫌がらせするよう支持した首謀者よ」
高笑いしながら今までの犯人だと名乗り出る。
私はショックを隠し切れない。
「じゃあ、私に近づいてきたのは……」
「アンタの味方につけて安心させるために決まってるじゃない。そうすれば嫌がらせするのに丁度いいしね。ホントに御しやすかったわ。まさかこんな奴が生徒会に入れるなんて、臍で茶が沸きそうよ。誰がアンタの友になるもんですかっ」
完全なる知能犯。金で人を操り、当の本人は傍観者として楽しんでいた。
吏沙は苦虫を噛み潰したように顔を顰める。
「ずっと生徒会に憧れてた。いつもHPをチェックしているくらいに大ファンだった。成績は中の下ぐらいだったけど、天帝を受験できるように猛勉強した」
その甲斐あって見事に合格。しかも、進学コースの生徒を差し置いて高校入試のトップに躍り出た。
それをきっかけに、新入生代表として演説の話が舞い込んできたのだ。
「もう、夜眠れなくなるぐらい嬉しかった。普段、近づけない生徒会の傍に行けると思って毎日特訓した。だけど、入学する3日前に高熱で緊急入院することになって……」
これほどのチャンスを手に入れたのに、断念せざるを得なかった。辞退する、という連絡をした後は涙が止まらなかった。
「そして、入院中に配信された入学式の映像を観た時・・・・!!」
眉間に皺を寄せ、私をキッと睨みつける。
その眼は、憎しみでいっぱいだった。
ゾクッと首筋が粟立つ。