ボクがキミをスキな理由【短編集】
その形相にビクンとカラダを揺らすオヤジ
そんな親父に向かって
「望月くんは必死に勉強してこの順位ではありません。最低限の努力で取れているこの順位!!必死になって勉強すれば必ず海星高校の合格圏内に入るはずです!!!
そんな息子さんの能力を信じるのも父親の役目ですよ!?」
担任・米田松子(ヨネダマツコ)はギャオーと口から火を吐かんばかりの勢いで言い捨てる。
「い、いや…
でも、本人の望んでない進路をワシは強要したくないし……。コイツの人生はコイツの思うように歩ませてやりたいし……。」
怯えたようにオヤジが答えると
「何言ってんですか!!
コドモのより良い進路を示してあげるのも親の役目ですよ!!?私は担任としてその進路をお受けできません!!
高波は第2志望にして第一志望は海星にいたしましょう!!」
担任はキィっとオヤジを睨んでこういい放つ。
「海星の受験日の一週間後が高波の受験日ですし。受かったら受かった時にどちらにするか考えればいいんです。チャレンジだけでもしてみましょう。
よろしいですね?」
その眼力と
迫力に
俺とオヤジも大人しく
『はい……』
と答えるほかなかった……。