君を抱きしめるから~光、たずさえて~




 残念。


 スポーツマンじゃなかったのか……たしか、虚弱って……学校には届け出ているんだろうか?


 だったら、このままボクは見過ごしたって良い。学校側が配慮してくれるはずだから。


 だが、『先輩』を見下したまま通り過ぎるのは失礼な気がした。事実、



「先輩を上から見下ろすのは失礼」



 と、なっちゃんが忠告してくれたので、さっきからそうしていたなっちゃんと同じく、さりげなくよそを向く。


 マイペースで登ってくるジャージのイケメン(失礼)顔だけ小学生の『先輩』は、ほんとに足はそれなりに強いらしく、ほとんど失速もせず、中休みもとらず、一生懸命だ。


 ボクらは、それを見守るように足を止めた。


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