~天に背いて~<~天に送る風~第二部>

 二人はさっさと退散することにした。が……


『ばっきゃろー、地獄の案内人を無視すると後で痛い目見るからなー!』

 二人は沈黙して立ち止まった。

 再び背後を見る。

 そうひょいひょいとゆける道のりではないが、王子は大ウシガエルに近づいた。

 がばり、

 と口を開けたところでのぞき込む。

 口の中の粘液の中に確かにそこには小さ神がとらえられていた。


『クッソー、俺をなんだと思ってる。遊び道具じゃないんだぞー! 無視するなよー、助けろよー。わーわーわー! だれか、だれかー!』


 王子の手の中で手を振り回して泣いている。羽虫のような羽は本物のようだ。
< 64 / 118 >

この作品をシェア

pagetop