~天に背いて~<~天に送る風~第二部>


「およしになってください。


 彼女は黄泉の宮殿に住まう王女なのですよ。

 みだりに傷つけでもしたら、黄泉の王がお怒りになって交渉は決裂。いいのですか、それで?」


「う!」


「大丈夫ですかァ? 王子の方がずっとお強いんですから、弱者にはもっと、こう、優しくですね」


 言っててアレキサンドラは赤面してしまった。いつも王子には自分だけを見てほしい、自分だけに優しくしてほしい、といつしか願うようになっていた、あの日から。


『一生王子だけの花乙女して傍らに』


 と、言うことは彼女には選択肢が他に赦されないと言うこと。あの日から王子だけを見つめてきた。

 愛していると言った。
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