~天に背いて~<~天に送る風~第二部>
唐突にお互い、冥府から戻るまでと封印してきた感情を、今だけは思い出してしまう。
『そういう事かよ。まあ、そんなことだろうと思ったよ』
クリスチーネはくるくる回ってまとっていたうすぎぬをふわりと翻し、うるさそうに長い金髪を背中にかきやった。
ひとに優しく、なんて思いもしないことを言うから人間なんて当てにならないのだ。
クリスチーネはなんとか王子の機嫌をとって、なつく姿でも見せるか、と思い実行したが、それでアレキサンドラが動揺をする、ということはなかった。
『ちえー、つっまんねーの』
王子もまた、なんと言うこともない、と言う顔をしている。
『ちくしょー、ならこれでどうだ!』