~天に背いて~<~天に送る風~第二部>


『わたくしがおります。いつでも離れず、ひかえておりますから、どうか! 王子!』


『そんなことはわかっている。おまえの忠心に応えられぬ己が悔しいのだ!』


 落涙。

 サフィールは絶望しかけていた。


『全ての希望を捨てられますのか? わたくしにはできかねます。いいえ。できない』


(そうよ、忘れないで)


『母が』


(わたくしが)


『共に、ここにいるから!』


(アレキサンドラ!)


(わかるのね、わたくしを忘れずに)
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